RYOKO's world according to her CATS

生まれ変わったら私の飼い猫になりたい!

「私の個人主義」

こんばんは、ボク、マロンです。
ボクは、独りが大好きです。
でも、なでなでされるのも、大好きです。
なでなでされて、なでなでしてくれた人が、笑顔になるのも実は、実は大好きです。


一番ボクをなでなでしてくれるのは、ボクの飼い主です。
飼い主が今日、久しぶりに、愛読書の一部を朗読してくれました。

20代の頃の自分に、そして大学を卒業して社会に出ようとしている学生さんたちに
知ってもらいたいのだそうですにゃ。

まあ、ネコに釈法だとはおもいますがにゃ。


(前略)

私はこの世に生まれた以上何かしなければならん、といって
何をして好いか少しも見当が付かない。
私はちょうど霧の中に閉じ込められた孤独の人間のように
立ち竦んでしまったのです。
そうしてどこからか一筋の日光が射して来ないか知らんという希望よりも、
こっちから照明灯を用いてたった一条で好いから先まで明らかに見たいという
気がしました。ところが不幸にして、どちらの方角を眺めても、ぼんやりしているのです。
ぼうっとしているのです。あたかも袋の中に詰められて出る事の出来ない人のような
気持ちがするのです。

私は私の錐さえあればどこか一カ所突き破って見せるのだがと、焦り抜いたのですが、
あいにくその錐は人から与えられる事もなく、また自分で発見するわけにもいかず、
ただ腹の底ではこの先自分はどうなるのだろうと思って、人知れず陰鬱な日を送った訳であります

(中略)

そして私は出来るだけ骨を折って何かしようと努力しました。しかし、どんな本を読んでも
依然として自分は袋の中から出る訳には参りません。この袋を突き破る錐はロンドン中
探して歩いても見つかりそうになかったのです。
私は下宿の一間の中で考えました。
詰まらないと思いました。
いくら書物を読んでも腹の足しにはならないのだと諦めました。
同時に何のために書物を読むのか自分でもその意味が分からなくなってきました。

この時私は初めて文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自力で作り上げるより外に、
私を救う途はないのだと悟ったのであります。

(中略)

私はそれから文芸に対する自己の立脚地を堅めるため、
堅めるというより新しくするために、文芸とは全く縁のない書物を読み始めました。
一口でいうと、自己本位、という四字をようやく考えて、その自己本位を立証するために、
科学的な研究やら哲学的な思索に耽り出したのであります。

(中略)

私はこの自己本位という言葉を自分の手に握ってから大変強くなりました。
彼ら何者ぞやと気概が出ました。今まで呆然と自失していた私に、
ここに立って、この道からこう行かなければならないという指図をしてくれたものは
実はこの自己本位の四字なのであります。・・・
今日の私に非常な自信と安心を与えてくれました。

(中略)

私の経験したような煩悶が貴方がたの場合にもしばしば起きるに違いないと
私は鑑定しているのですが、どうでしょうか。
もしそうだとすると、何かに打ち当たるまで行くという事は、
学問をする人、教育を受ける人が、生涯の仕事としても、あるいは
10年20年の仕事としても、必要じゃないでしょうか。
ああここにおれ(わたし)の進むべき道があった!ようやく掘り当てた!
こういう感嘆詞を心の底から叫びだされるとき、あなた方は
初めて心を案ずる事が出来るのでしょう。

(中略)

もしどこかに「こだわり」があるならば、をれを踏み潰すまで進まなければ駄目ですよ!
もっと進んだってどう進んで好いのか解らないのだから、何かにぶつかる所まで
行くより外に仕方がないのです。

誰の文章(講演)だと思われますかにゃ?


お察しの通りですにゃ!
もちろん、ボクと、ボクの飼い主が敬愛する
夏目漱石先生ですにゃ。



しつこい飼い主の事です、またこの話を持ち出すかもしれませんが、
ご容赦下さいにゃのですにゃ・・・




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