我輩はマロンである。
名前は、クリ。仏蘭西語で言うところの、マロンである。
親譲りの無鉄砲で、子どもの頃から損ばかりしている。
生まれたての頃、ベランダから飛び降りて着地に失敗。
膀胱破裂を起こし、5日間人目に触れずウジ虫に食われ、
瀕死の状態をマンションの管理人さんに見つけてもらった。
今でも名誉の負傷のおなかは、やけに毛が長い。
しかし、あまりのやんちゃぶりにも飼い主が叱ることはない。
だから、我輩はやりたい放題の毎日である。
先週末は、飼い主におねだりして、別荘に連れて行ってもらった。
人間だけが週末をのんびり過ごすなんて、差別も甚だしい。
久しぶりに身体を洗ってもらい、トリートメントも施してもらった。
つやつやした毛を愛おしそうになでる飼い主はやたらとうれしそうだ。
せっかくなので、洗い立てのまま、別荘のデッキで日光浴をした。
ああ、やっぱり太陽は気持ちがいい。
濡れた身体をペロペロするのは猫の習性なので、許して欲しい。
少し身体も乾いてきたので、庭の草むしりをした。
家で食べる猫草も良いが、一面に生える芝生を食べ放題、というのも
なかなか粋である。
思わず舌なめずりをしてしまった。
そうこうしているうちに、何者かが玄関に近寄ってきた。
猫を馬鹿にしちゃいけない。
我輩はその怪しげな人間に吠えたて、背中の毛を立てて
思いっきり威嚇してやった。
なんと、それは釣りから帰ってきた飼い主のパパさんだったとは・・・。
しかし、パパさんが釣ってきたフグなんかに我輩はだまされない。
我輩、ロシアンブルーたちは、魚を食さないのだ。
人間だけが喜んで食べれば、それでよろしい。
かくして、我輩マロンは、休日をのんびりと堪能したのであった。
毎日、飼い主を見守る仕事で疲れた心と身体を癒せる
いい週末であった。